【第3回】中高生の成長は睡眠で決まる|成長ホルモン・スマホ・休息の科学【完全解説】

5 min 4 views

この記事で分かること

  • なぜ睡眠中に成長するのか(成長ホルモンの分泌メカニズム)
  • スマホが成長を止める科学的理由
  • 「休み」と「休息」の決定的な違い
  • 回復を最大化する具体的な方法

休息は「さぼり」ではなく「成長の時間」

多くの中高生が誤解していることがあります。
「練習を休むと弱くなる」
これは半分正解で、半分間違いです。

正しくは:

  • 意味のない休み → 弱くなる
  • 戦略的な休息 → 強くなる

なぜなら、実際に成長が起こるのは休息中だからです


成長ホルモンは睡眠中に大量分泌される

睡眠と成長ホルモンの関係

最も重要な事実:
成長ホルモンの分泌量は:

  • 起きている時: 少量
  • 運動直後: やや増加
  • 睡眠中(特に入眠後90分): 大量分泌 ← 1日の70%がここ!

つまり、どれだけ食べても、どれだけ練習しても、睡眠が足りないと成長しません


入眠後90分が超重要

睡眠は以下のサイクルを繰り返します:

【第1サイクル】90分
深い眠り(ノンレム睡眠) → 浅い眠り(レム睡眠)
★ 成長ホルモン大量分泌 ★

【第2サイクル】90分
深い眠り → 浅い眠り
成長ホルモン少量分泌

【第3サイクル以降】
さらに少量…

つまり、「最初の90分の睡眠の質」が成長を決めます。


「22時〜2時のゴールデンタイム」は嘘?

よく聞く「22時〜2時に寝ないと成長しない」という話。
これは半分嘘です。

正しい情報

成長ホルモンは:

  • 時刻ではなく「入眠後の時間」で決まる
  • 22時に寝ても、24時に寝ても、入眠後90分が重要

でも22時に寝た方が良い理由

中高生は7〜9時間の睡眠が必要です。

  • 6時起床の場合: 22時就寝 → 8時間睡眠 ✅
  • 6時起床の場合: 24時就寝 → 6時間睡眠 ❌

つまり、22時就寝が推奨されるのは「十分な睡眠時間を確保するため」です。


睡眠不足で起こる悪影響

1週間で3時間睡眠不足が続くと…

身体への影響:

  • 成長ホルモン分泌 30%減
  • ケガのリスク 1.7倍
  • 風邪をひきやすくなる(免疫力低下)
  • 筋肉の回復が遅れる

脳への影響:

  • 集中力低下
  • 判断力低下
  • 記憶力低下
  • イライラしやすくなる

部活への影響:

  • 反応速度が落ちる
  • フォームが崩れる
  • ミスが増える

成長への影響:

  • 身長の伸びが止まる
  • 筋肉がつかない

中高生の睡眠時間の現実

理想と現実のギャップ

項目|必要な睡眠時間|実際の平均

  • 中学生|8〜10時間|6.5時間
  • 高校生|7〜9時間|6時間

毎日1.5〜2時間不足しています。


なぜ削られるのか?

  • 部活(16〜19時)
  • 夕食(19時30分)
  • 風呂(20時)
  • 勉強(20時30分〜23時)
  • スマホ(23時〜24時) ← ここが問題!

結果、24時就寝 → 6時起床 = 6時間睡眠


スマホが成長を止める3つの理由

理由1: ブルーライトが睡眠ホルモンを抑える

メラトニン(睡眠ホルモン)は:

  • 暗くなると分泌される
  • 深い眠りを作る
  • 成長ホルモン分泌をサポートする

スマホのブルーライトは:

  • 脳を「昼間だ」と錯覚させる
  • メラトニン分泌を70%減らす
  • 寝つきが悪くなる

結果: 入眠後90分の質が下がる → 成長ホルモンが出ない


理由2: 脳が興奮モードになる

SNS・動画・ゲームをすると:

  • ドーパミン(快楽物質)が分泌
  • 交感神経が優位(戦闘モード)
  • 心拍数が上がる

この状態で寝ても:

  • 深い眠りに入れない
  • 夢ばかり見る(レム睡眠が多い)
  • 朝起きても疲れている

理由3: 時間の感覚が麻痺する

「あと5分だけ…」が30分、1時間になる。
なぜなら、SNSやYouTubeは:

  • 終わりがない設計
  • 次々におすすめが出てくる
  • 「もうちょっと」と思わせる仕組み

これは意志の問題ではなく、依存するように設計されているのです。


スマホ対策: 意志ではなくシステムで止める

「スマホは21時まで!」と決めても守れないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
スマホは依存させる設計だからです


効果的な対策

① 物理的に遠ざける

寝る1時間前に:

  • リビングに置く
  • 親に預ける
  • 別の部屋に置く

目覚ましはスマホ以外で:

  • 専用の目覚まし時計を使う
  • スマホを目覚ましにしない

② スクリーンタイム機能を使う

iPhoneの場合:

  • 「設定」→「スクリーンタイム」
  • 21時になったら強制終了

Androidの場合:

  • 「Digital Wellbeing」で設定

重要: 親に設定してもらい、パスワードは親が管理


③ 充電場所を変える

  • 寝室で充電しない
  • リビングや親の部屋で充電

保護者の方へ

「スマホを取り上げるのはかわいそう」と思うかもしれません。
でも、スマホによる睡眠不足は:

  • 成長を止める
  • 学力を下げる
  • ケガリスクを上げる

子どもの未来を守るために、協力してあげてください。


「休み」と「休息」は違う

多くの中高生が勘違いしています。

❌ 休み(リフレッシュ)

  • ゲーム
  • SNS
  • YouTube
  • 友達とカラオケ
  • 夜更かし

これらは「楽しい」けど「回復」はしていません。

✅ 休息(リカバリー)

  • 睡眠時間を増やす
  • 散歩
  • ストレッチ
  • 読書
  • 音楽を聴く

これらは「体と脳を回復させる」活動です。


休息中に何が起きているか?

良い休息の条件

副交感神経が優位

  • リラックスモード
  • 心拍数が下がる
  • 呼吸が深くなる

脳の活動が落ち着く

  • 前頭葉(判断・集中)が休む
  • デフォルトモードネットワーク(整理モード)が働く

成長・回復ホルモンが働く

  • 成長ホルモン
  • メラトニン
  • テストステロン

悪い休み中に起きていること

スマホ・ゲーム中:

  • 交感神経が優位(興奮モード)
  • ドーパミンが出続ける
  • 目・脳がフル稼働
  • 呼吸が浅い
  • 心拍数が上がる

これは「刺激」であって「休息」ではありません。


中高生のための回復メニュー

レベル1: 疲れが軽い日(15〜30分)

  • 目を閉じて深呼吸(15分)
  • 近所を散歩(20分)
  • ストレッチ(20分)
  • 好きな音楽を聴く

レベル2: 疲れが残っている日(30〜60分)

  • 少し長めの散歩(30分)
  • ヨガ的なストレッチ(30分)
  • 銭湯・温泉(40分)
  • 読書(小説・漫画でもOK)

レベル3: 筋肉痛・疲労困憊の日(1〜2時間)

  • 早く寝る(+1〜2時間)
  • マッサージ・整体
  • アイシング + ストレッチ
  • ほぼ何もしない(ぼーっとする)

電車通学者の裏技: 帰りの仮眠

部活後、帰宅まで1時間以上かかる人へ。
電車の中で15〜30分の仮眠をおすすめします。

なぜ効果があるのか?

部活直後は:

  • 脳が興奮モード
  • 交感神経が優位
  • アドレナリンが出ている

この状態で帰宅すると:

  • 夕食後に強烈な眠気
  • 勉強ができない
  • 寝てしまう

でも、電車で15〜30分の仮眠をすると:

  • 脳の興奮が落ち着く
  • 回復モードに切り替わる
  • 夕食後の眠気が軽減
  • 勉強に集中できる

やり方

  • 電車に乗ったら目を閉じる
  • 音楽を聴いてもOK(激しいのはNG)
  • 寝過ごさないようタイマー設定

注意: 30分以上寝ると深い眠りに入り、夜の睡眠に影響します。そして確実に乗り過ごします(笑)


1週間の休息設計例

月曜日(土日の試合後)

  • 積極的休息: 軽いジョグ20分 + ストレッチ20分
  • 早めに寝る(21時30分就寝)

火曜日

  • 完全休養
  • スマホは20時まで
  • 読書やストレッチ
  • 22時就寝

水〜金曜日

  • 通常練習
  • 電車で仮眠15分
  • 22時就寝

土日(試合)

  • 試合後: アイシング + ストレッチ
  • 可能なら昼寝30分
  • 22時就寝

睡眠の質を上げる7つのポイント

① 寝る1時間前にスマホを終了

→ メラトニン分泌を妨げない

② 夕食は寝る2〜3時間前に済ませる

→ 消化にエネルギーを使わない
→ 成長ホルモン分泌を妨げない

③ 入浴は寝る1時間前

→ 体温が下がるタイミングで入眠しやすい

④ 部屋を暗くする

→ メラトニン分泌を促す

⑤ 室温を調整する

→ 18〜20度が理想

⑥ 寝る前のカフェインNG

→ コーヒー、エナジードリンク、緑茶は極力控える

⑦ 休日も同じ時間に起きる

→ 体内時計を乱さない


今日からできること3つ

① 睡眠時間を記録する

  • 1週間、何時に寝て何時に起きたか記録
  • 平均睡眠時間を計算
  • 7時間未満なら改善が必要

② スマホを寝室から追放する

  • 今日から、寝る1時間前にリビングに置く
  • 目覚ましは専用時計を買う

③ 休息メニューを1つ実践する

  • 明日の休みに、散歩かストレッチを20分やる
  • スマホを見ずに過ごす

保護者・指導者の方へ

中高生にとって、休息は「さぼり」に見えます。
だからこそ、大人が:

  • 休息の重要性を伝える
  • 環境を整える(スマホ管理など)
  • 見本を見せる(自分も早く寝る)

ことが大切です。

「休むことも練習の一部」
この文化を作ってください。


まとめ

  • 成長ホルモンは睡眠中(入眠後90分)に大量分泌
  • 7〜9時間の睡眠が必須
  • スマホは成長を止める最大の敵
  • 「休み」と「休息」は違う
  • 意志ではなくシステムで対策する
  • 電車通学者は帰りの仮眠が効果的

最終回は「実践編」です。
1週間のスケジュール例、よくある質問、チェックリストで、今日から実践できる内容をお届けします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です