この記事で分かること
- なぜ睡眠中に成長するのか(成長ホルモンの分泌メカニズム)
- スマホが成長を止める科学的理由
- 「休み」と「休息」の決定的な違い
- 回復を最大化する具体的な方法
休息は「さぼり」ではなく「成長の時間」
多くの中高生が誤解していることがあります。
「練習を休むと弱くなる」
これは半分正解で、半分間違いです。
正しくは:
- 意味のない休み → 弱くなる
- 戦略的な休息 → 強くなる
なぜなら、実際に成長が起こるのは休息中だからです。
成長ホルモンは睡眠中に大量分泌される
睡眠と成長ホルモンの関係
最も重要な事実:
成長ホルモンの分泌量は:
- 起きている時: 少量
- 運動直後: やや増加
- 睡眠中(特に入眠後90分): 大量分泌 ← 1日の70%がここ!
つまり、どれだけ食べても、どれだけ練習しても、睡眠が足りないと成長しません。
入眠後90分が超重要
睡眠は以下のサイクルを繰り返します:
【第1サイクル】90分
深い眠り(ノンレム睡眠) → 浅い眠り(レム睡眠)
★ 成長ホルモン大量分泌 ★
【第2サイクル】90分
深い眠り → 浅い眠り
成長ホルモン少量分泌
【第3サイクル以降】
さらに少量…
つまり、「最初の90分の睡眠の質」が成長を決めます。
「22時〜2時のゴールデンタイム」は嘘?
よく聞く「22時〜2時に寝ないと成長しない」という話。
これは半分嘘です。
正しい情報
成長ホルモンは:
- 時刻ではなく「入眠後の時間」で決まる
- 22時に寝ても、24時に寝ても、入眠後90分が重要
でも22時に寝た方が良い理由
中高生は7〜9時間の睡眠が必要です。
- 6時起床の場合: 22時就寝 → 8時間睡眠 ✅
- 6時起床の場合: 24時就寝 → 6時間睡眠 ❌
つまり、22時就寝が推奨されるのは「十分な睡眠時間を確保するため」です。
睡眠不足で起こる悪影響
1週間で3時間睡眠不足が続くと…
身体への影響:
- 成長ホルモン分泌 30%減
- ケガのリスク 1.7倍
- 風邪をひきやすくなる(免疫力低下)
- 筋肉の回復が遅れる
脳への影響:
- 集中力低下
- 判断力低下
- 記憶力低下
- イライラしやすくなる
部活への影響:
- 反応速度が落ちる
- フォームが崩れる
- ミスが増える
成長への影響:
- 身長の伸びが止まる
- 筋肉がつかない
中高生の睡眠時間の現実
理想と現実のギャップ
項目|必要な睡眠時間|実際の平均
- 中学生|8〜10時間|6.5時間
- 高校生|7〜9時間|6時間
毎日1.5〜2時間不足しています。
なぜ削られるのか?
- 部活(16〜19時)
- 夕食(19時30分)
- 風呂(20時)
- 勉強(20時30分〜23時)
- スマホ(23時〜24時) ← ここが問題!
結果、24時就寝 → 6時起床 = 6時間睡眠
スマホが成長を止める3つの理由
理由1: ブルーライトが睡眠ホルモンを抑える
メラトニン(睡眠ホルモン)は:
- 暗くなると分泌される
- 深い眠りを作る
- 成長ホルモン分泌をサポートする
スマホのブルーライトは:
- 脳を「昼間だ」と錯覚させる
- メラトニン分泌を70%減らす
- 寝つきが悪くなる
結果: 入眠後90分の質が下がる → 成長ホルモンが出ない
理由2: 脳が興奮モードになる
SNS・動画・ゲームをすると:
- ドーパミン(快楽物質)が分泌
- 交感神経が優位(戦闘モード)
- 心拍数が上がる
この状態で寝ても:
- 深い眠りに入れない
- 夢ばかり見る(レム睡眠が多い)
- 朝起きても疲れている
理由3: 時間の感覚が麻痺する
「あと5分だけ…」が30分、1時間になる。
なぜなら、SNSやYouTubeは:
- 終わりがない設計
- 次々におすすめが出てくる
- 「もうちょっと」と思わせる仕組み
これは意志の問題ではなく、依存するように設計されているのです。
スマホ対策: 意志ではなくシステムで止める
「スマホは21時まで!」と決めても守れないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
スマホは依存させる設計だからです。

効果的な対策
① 物理的に遠ざける
寝る1時間前に:
- リビングに置く
- 親に預ける
- 別の部屋に置く
目覚ましはスマホ以外で:
- 専用の目覚まし時計を使う
- スマホを目覚ましにしない
② スクリーンタイム機能を使う
iPhoneの場合:
- 「設定」→「スクリーンタイム」
- 21時になったら強制終了
Androidの場合:
- 「Digital Wellbeing」で設定
重要: 親に設定してもらい、パスワードは親が管理
③ 充電場所を変える
- 寝室で充電しない
- リビングや親の部屋で充電
保護者の方へ
「スマホを取り上げるのはかわいそう」と思うかもしれません。
でも、スマホによる睡眠不足は:
- 成長を止める
- 学力を下げる
- ケガリスクを上げる
子どもの未来を守るために、協力してあげてください。
「休み」と「休息」は違う
多くの中高生が勘違いしています。
❌ 休み(リフレッシュ)
- ゲーム
- SNS
- YouTube
- 友達とカラオケ
- 夜更かし
これらは「楽しい」けど「回復」はしていません。
✅ 休息(リカバリー)
- 睡眠時間を増やす
- 散歩
- ストレッチ
- 読書
- 音楽を聴く
これらは「体と脳を回復させる」活動です。
休息中に何が起きているか?
良い休息の条件
副交感神経が優位
- リラックスモード
- 心拍数が下がる
- 呼吸が深くなる
脳の活動が落ち着く
- 前頭葉(判断・集中)が休む
- デフォルトモードネットワーク(整理モード)が働く
成長・回復ホルモンが働く
- 成長ホルモン
- メラトニン
- テストステロン
悪い休み中に起きていること
スマホ・ゲーム中:
- 交感神経が優位(興奮モード)
- ドーパミンが出続ける
- 目・脳がフル稼働
- 呼吸が浅い
- 心拍数が上がる
これは「刺激」であって「休息」ではありません。
中高生のための回復メニュー
レベル1: 疲れが軽い日(15〜30分)
- 目を閉じて深呼吸(15分)
- 近所を散歩(20分)
- ストレッチ(20分)
- 好きな音楽を聴く
レベル2: 疲れが残っている日(30〜60分)
- 少し長めの散歩(30分)
- ヨガ的なストレッチ(30分)
- 銭湯・温泉(40分)
- 読書(小説・漫画でもOK)
レベル3: 筋肉痛・疲労困憊の日(1〜2時間)
- 早く寝る(+1〜2時間)
- マッサージ・整体
- アイシング + ストレッチ
- ほぼ何もしない(ぼーっとする)
電車通学者の裏技: 帰りの仮眠
部活後、帰宅まで1時間以上かかる人へ。
電車の中で15〜30分の仮眠をおすすめします。
なぜ効果があるのか?
部活直後は:
- 脳が興奮モード
- 交感神経が優位
- アドレナリンが出ている
この状態で帰宅すると:
- 夕食後に強烈な眠気
- 勉強ができない
- 寝てしまう
でも、電車で15〜30分の仮眠をすると:
- 脳の興奮が落ち着く
- 回復モードに切り替わる
- 夕食後の眠気が軽減
- 勉強に集中できる
やり方
- 電車に乗ったら目を閉じる
- 音楽を聴いてもOK(激しいのはNG)
- 寝過ごさないようタイマー設定
注意: 30分以上寝ると深い眠りに入り、夜の睡眠に影響します。そして確実に乗り過ごします(笑)
1週間の休息設計例
月曜日(土日の試合後)
- 積極的休息: 軽いジョグ20分 + ストレッチ20分
- 早めに寝る(21時30分就寝)
火曜日
- 完全休養
- スマホは20時まで
- 読書やストレッチ
- 22時就寝
水〜金曜日
- 通常練習
- 電車で仮眠15分
- 22時就寝
土日(試合)
- 試合後: アイシング + ストレッチ
- 可能なら昼寝30分
- 22時就寝
睡眠の質を上げる7つのポイント
① 寝る1時間前にスマホを終了
→ メラトニン分泌を妨げない
② 夕食は寝る2〜3時間前に済ませる
→ 消化にエネルギーを使わない
→ 成長ホルモン分泌を妨げない
③ 入浴は寝る1時間前
→ 体温が下がるタイミングで入眠しやすい
④ 部屋を暗くする
→ メラトニン分泌を促す
⑤ 室温を調整する
→ 18〜20度が理想
⑥ 寝る前のカフェインNG
→ コーヒー、エナジードリンク、緑茶は極力控える
⑦ 休日も同じ時間に起きる
→ 体内時計を乱さない
今日からできること3つ
① 睡眠時間を記録する
- 1週間、何時に寝て何時に起きたか記録
- 平均睡眠時間を計算
- 7時間未満なら改善が必要
② スマホを寝室から追放する
- 今日から、寝る1時間前にリビングに置く
- 目覚ましは専用時計を買う
③ 休息メニューを1つ実践する
- 明日の休みに、散歩かストレッチを20分やる
- スマホを見ずに過ごす
保護者・指導者の方へ
中高生にとって、休息は「さぼり」に見えます。
だからこそ、大人が:
- 休息の重要性を伝える
- 環境を整える(スマホ管理など)
- 見本を見せる(自分も早く寝る)
ことが大切です。
「休むことも練習の一部」
この文化を作ってください。
まとめ
- 成長ホルモンは睡眠中(入眠後90分)に大量分泌
- 7〜9時間の睡眠が必須
- スマホは成長を止める最大の敵
- 「休み」と「休息」は違う
- 意志ではなくシステムで対策する
- 電車通学者は帰りの仮眠が効果的
最終回は「実践編」です。
1週間のスケジュール例、よくある質問、チェックリストで、今日から実践できる内容をお届けします。
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