この記事で分かること
- 食トレだけでは成長しない科学的理由
- 成長に必要な3つの要素とそのバランス
- あなたの努力が報われない本当の原因
はじめに〜この記事を書いた理由〜
僕は看護師として救急・集中治療の現場で15年以上働き、人の身体の回復や成長を見てきました。また、息子の野球や娘の陸上競技を通じて中高生のスポーツ現場にも関わっています。
先日、子供の学校で「部活生向け食トレ講演会」がありました。某食品メーカーの管理栄養士さんが、栄養の大切さを説明し、最後に自社製品をおすすめするという内容でした。

多くの保護者は「勉強になった」と満足していましたが、
僕の批判的思考は止まりませんでした。(笑)
講演の内容はこうでした:
- 摂取カロリーと栄養素の割合
- 補食のタイミング(特に部活動前中後)
- 試合前・試合中の食事
僕が感じた疑問:
- 食べられる量には個人差があるのでは?
- 消化吸収能力も人それぞれでは?
- たくさん食べれば本当に成長するのか?
- 高タンパク食が本当に必要なのか?
- 毎日激しい練習をして、たくさん食べることが正義なのか?
- 休息についてはどう考えているのか?
- これは理想論で、実際の生活に合っているのか?
そこで、医療者として、また父親として、科学的根拠を集めながら考えてみました。
この記事の立ち位置:
僕は栄養学やトレーニング学の専門家ではありません。ただ、それぞれの分野には専門家がいても、「中高生アスリートの成長全体」を見ている専門家はほとんどいないことがわかりました。
だから、純粋に「子どもたちにとって何が本当に良いのか」を調べ、統合した結果をここに書きます。
あなたは当てはまりますか?
中高生の皆さん、こんな悩みはありませんか?
- 部活を真面目にやっているのに身長が伸びない
- 食事に気をつけているのに筋肉がつかない
- どれだけ寝ても疲れが抜けない
- 同じ部位を何度もケガする
- 周りより体が小さいまま
もし一つでも当てはまるなら、あなたの努力の方向が間違っているかもしれません。
成長に必要なのは3要素のバランス
成長には以下の3つが必要です:
1. 栄養(食事)
→ 体を作る材料
2. 運動(刺激)
→ 成長のスイッチを入れる
3. 休息(回復)
→ 実際に成長が起こる時間
多くの中高生は「栄養」と「運動」ばかりに目が行き、「休息」が圧倒的に足りていません。
例えるなら:
- 栄養 = 建築資材
- 運動 = 設計図
- 休息 = 実際に建物を建てる時間
資材(栄養)と設計図(運動)があっても、建設する時間(休息)がなければ建物は完成しません。
これが、頑張っているのに成長しない最大の理由です。
「たくさん食べろ」は本当に正解か?
食トレで必ず言われるのが「もっと食べろ」です。
でも、これには3つの問題があります:
問題1: 食べられる量には限界がある
- A君は4000kcal食べられる
- B君は3000kcalが限界
この差は体質です。努力だけでは変えられません。
問題2: 消化吸収能力にも個人差がある
同じ量を食べても:
- すぐ消化して栄養にできる人
- 胃もたれして吸収できない人
がいます。
問題3: 食べすぎは逆効果になる
無理に食べると:
- 消化にエネルギーを奪われる
- 睡眠の質が下がる(後述)
- 内臓疲労が起こる
つまり、「たくさん食べろ」だけでは解決しないのです。
エネルギーの使われ方を理解しよう
あなたが食べたエネルギーは、3つの階層で使われます:

【3階】成長エネルギー(身長・筋肉) 500kcal
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2階】活動エネルギー(部活・生活)
800〜1500kcal
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1階】基礎代謝(生命維持) 1600kcal
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
軽い練習の日
1600 + 800 + 500 = 2900kcal必要
激しい練習の日
1600 + 1500 + 500 = 3600kcal必要
重要なポイント:
エネルギーが足りなくなると、上の階から削られます。

つまり、3600kcal必要なのに3000kcalしか食べられないと:
- 成長エネルギー(3階)が500kcal不足
- 活動エネルギー(2階)も100kcal不足
結果: 成長が止まります。
本当の解決策は「活動量の調整」
ここが最も重要です。
食べられる量(1階+2階+3階)には限界があります。
でも、2階(活動量)は調整できます。
例: 3000kcalしか食べられないB君の場合
悪い例(従来の方法):
- 1階: 基礎代謝 1600kcal
- 2階: 激しい練習 1500kcal
- 3階: 成長 -100kcal ← 足りない!
→ 成長が止まる
良い例(調整した方法):
- 1階: 基礎代謝 1600kcal
- 2階: 適度な練習 900kcal
- 3階: 成長 500kcal ← 確保できた!
→ しっかり成長する
これが「練習量を見直す」という考え方です。
指導者・保護者の方へ
「練習量を減らす」と聞くと抵抗があるかもしれません。
でも、これは:
- サボることではありません
- 弱くなることでもありません
「戦略的に余白を作る」ことです。
実際に起きていること
多くのチームで:
- 月〜土: 激しい練習
- 日: 試合や練習試合
- 唯一の休み: 月曜日のみ
この状態では:
- レギュラー陣は回復しないまま火曜日を迎える
- 成長エネルギーが常に不足
- ケガのリスクが高まり続ける
- 控え選手との練習量の差が開きすぎる
これで本当に強いチームが作れるでしょうか?
今日からできること3つ
① 自分の1日の必要カロリーを計算する
- 基礎代謝: 体重 × 25〜30kcal
- 活動量: 軽い日800kcal、激しい日1500kcal
- 成長分: 500kcal
合計を出してみよう
② 今週の練習量を振り返る
- 激しい練習は週に何日あった?
- 完全休養は何日あった?
- 疲れが抜けないまま練習した日は?
③ 指導者に相談する
- この記事を見せて、練習メニューについて話し合う
- 「もっと強くなりたいから、回復の時間が欲しい」と伝える
まとめ
- 成長には「栄養・運動・休息」の3要素が必要
- 「たくさん食べろ」だけでは解決しない
- エネルギーは1階→2階→3階の順で使われる
- 活動量(2階)を調整することで成長(3階)を確保できる
- 練習量を見直すことは、戦略的な選択
次回は「運動と成長ホルモン」について詳しく解説します。
なぜ適度な運動が成長を促すのか、やりすぎるとどうなるのか、科学的に説明します。
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