どんなテキストや本を読んでも、まず最初に出てくるのが「コーチングとは何か?」という定義です。
この定義づけが曖昧なまま学びを進めてしまうと、途中で混乱したり、勘違いが生じやすくなる。だからこそ、最初に必ず立ち止まって語られるのだと思います。
ただ正直に言うと、この定義づけこそが一番難しいのではないか、と僕は感じています。
コーチングの語源
コーチングの語源は、「coach(コーチ)」という言葉にあります。もともとは「目的地まで人を運ぶ馬車」を意味しており、そこから転じて、スポーツのコーチやインストラクター、トレーナーなどの意味で使われるようになったと言われています。

語源や歴史についてここでは深入りしませんが、「目的地へ向かう支援」というイメージは、現在のコーチングにも通じる部分があると感じます。
では、コーチングとは何か?
「コーチングとは何ですか?」
この問いに対して、僕はまだ「コーチングとは◯◯である」と断定的に言い切ることができません。
実際、学びを深めていく中で感じたのは、コーチングの定義は使う人によって微妙に異なるということです。
- 技術論(テクニック)として語られることもあれば
- 方法論(メソッド)として扱われることもある
- 「それ、本当にコーチングなのだろうか?」と思うものまで、コーチングと呼ばれていることもある
だからこそ、コーチングは混乱しやすい分野なのだと思います。
僕なりの「暫定的な定義」
ここでは、あくまで現時点での僕なりの定義として、次のように考えています。
コーチングとは、クライアント(支援を受ける側)が目的地(目標)へ到達するのを支援するために、コーチ(支援を行う側)が意図的に行う、技術的・精神的サポートの総称である。
……正直、「だから何?」って言いたくなりますよね。僕が聞く側だったら、きっと言っています。
要するに、コーチがクライアントの目標達成を支援するために行う一連の関わり全体を、コーチングと呼んでいるということです。
ここで大切なのは、コーチングは「教えること(ティーチング)」とは少し違う、という点です。
ただし、人材育成の観点から考えると、ティーチングとコーチングはどちらが優れているという話ではありません。状況によっては両方が必要です。何でもかんでもコーチングだけが正しい、というわけではないと僕は考えています。
「クライアント」という言葉への違和感
少し余談になりますが、僕はコーチングを受ける人を「クライアント」と呼ぶことに、強い違和感があります。
クライアントという言葉には、どこか「依頼主」「顧客」といったニュアンスがあり、上下関係を想像してしまうからです。
しかし、僕が大切にしたいコーチングの関係性は、コーチとクライアントが対等であることです。コーチが上で、クライアントが下という関係ではありません。
僕がイメージしているのは、ブラインドマラソンの伴走者のように、同じ方向を見て、同じペースで走る存在です。
「俺について来い」「言う通りにやればいい」といったゴリゴリの関係ではなく、気軽に相談できる、少し先を歩く存在。優しい兄貴や、信頼できる上司のようなイメージです。
コーチングとは何か。この問いに対する答えは、きっと一つではありません。
この先の記事では、コーチングの基本や具体的な関わり方について、少しずつ掘り下げていきたいと思います。
次回は、コーチングの基本について述べていきます。