― NLPトライアドで解き明かす、感情コントロールの処方箋 ―
「あの人はいつも冷静なのに、なぜ自分はこんなに動揺してしまうのか」
医療現場で15年以上働くなかで、同じような緊急事態に直面しても、
冷静に対処できる人と、感情に飲み込まれてしまう人が
いることに気づきました。
それは能力の差ではありません。
感情が生まれる「仕組み」を知っているかどうか、ただそれだけの違いです。
今日は、NLP(神経言語プログラミング)の中核概念である「トライアド」を使って、感情が乱れたときに人の中で何が起きているのか、
そしてどうすれば感情をコントロールできるのかを解説します。
感情は「気合」や「性格」で決まるのか?
「もっと前向きに考えよう」
「気持ちを切り替えよう」
そう言われても、うまくいかなかった経験は誰にでもあると思います。
それは、意志が弱いからでも、未熟だからでもありません。
感情は、意思よりも先に、仕組みで生まれているからです。
感情の発生には明確な法則がある
感情の発生には、明確な法則があります。
NLP(神経言語プログラミング)では、
これを「トライアド(Triad)」と呼んでいます。
トライアドとは、人間の感情・思考・行動を
決定づける3つの要素の相互作用を示すモデルです。
この仕組みを理解すれば、感情に振り回されるのではなく、
感情を選択できるようになります。
トライアド ― 感情を生み出す3つの力
人の感情(ステート)は、次の3つの要素によってつくられています。
フィジオロジー(Physiology) ― 身体の状態
フォーカス(Focus) ― 意識の向いている先
ランゲージ(Language) ― 言葉・内なる対話

この3つは互いに影響し合いながら、感情・思考・行動を決定づけています。
つまり、感情をコントロールしたければ、この3つのどこかにアプローチすればいいのです。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
① フィジオロジー ― 身体が感情を先につくる
「気持ちが落ち込んでいるから、元気が出ない」
多くの人はそう思いがちですが、
実際には、順番は逆のことが多いのです。
姿勢
呼吸
表情
筋肉の緊張
動きの大きさ
こうした身体の状態が、先に感情の方向を決めています。
背中を丸め、呼吸を浅くしたまま、
前向きな気分になろうとするのは難しい。
逆に、胸を開き、視線を上げ、深く呼吸するだけで、
気持ちは少し前を向きます。
📍看コチの実践ガイド

【今すぐできる身体アプローチ3選】
1.姿勢リセット
背筋を伸ばし、肩を後ろに引く(10秒キープ)
2.呼吸調整
4秒かけて鼻から吸い、8秒かけて口からゆっくり吐く(3回繰り返す)
3.筋肉弛緩
両肩をぎゅっと上げて、ストンと落とす(3回繰り返す)
これらを組み合わせると、約1分で感情の土台が変わり始めます。
② フォーカス ― 人は「見ているもの」で感情が変わる
人は、どこに意識を向けているかで、
同じ現実をまったく違うものとして受け取ります。
有名な話があります。
アフリカに派遣された二人の靴メーカーのセールスマン。
アフリカの生活では、誰も靴を履いていないという衝撃的な光景でした。

そして、二人は各々本社にこうレポートを送りました。

「ここでは靴を履く文化がない。だから市場はない」
「ここでは誰も靴を履いていない。だからこそ、無限の市場がある」

状況は同じ。違うのは、焦点の置き方だけです。
医療現場での「フォーカス」の例
同じ「急変対応」でも、
あるスタッフは

「また失敗するかもしれない」(過去の失敗にフォーカス)
と考え、動きが硬くなります。
別のスタッフは
「今できるベストを尽くそう」(現在の行動にフォーカス)

と考え、冷静に動けます。
出来事は同じ。違うのは、意識を向けている先だけです。
📍看コチの実践ガイド

【フォーカスを未来に向ける3つの質問】
感情が乱れたとき、自分にこう問いかけてみてください。
1.「この状況から、何を学べるだろうか?」
2.「今、自分にできる最善の行動は何だろうか?」
3.「この経験が、未来の自分にどう役立つだろうか?」
質問を変えると、脳は自動的に答えを探し始めます。
そして、フォーカスが過去や問題から、未来と解決策へと移動します。
③ ランゲージ ― 言葉が感情に名前をつける
人は一日中、自分自身と会話しています。
「疲れた」
「最悪だ」
「やっぱり無理だ」
こうした内なる言葉が、感情の色を決めています。
同じ出来事でも、
「疲れた」 → 「充実した一日だった」
「最悪」 → 「学びがあった」
「できない」 → 「まだ練習中」
言葉が変わると、感情のスイッチも静かに切り替わります。
📍看コチの実践ガイド

【内なる言葉の観察ワーク】
ステップ1: 今日1日、頭の中で繰り返し使った言葉を3つメモする
ステップ2: それぞれの言葉が、どんな感情を生んでいたか振り返る
ステップ3: よりポジティブな言い換えを考えてみる
例:
「疲れた」→「今日もよく頑張った」
「また失敗した」→「次はこう改善しよう」
「自分には無理」→「今はまだ練習中」
まずは3日間続けてみてください。
無意識の言葉のパターンが見えてきます。
感情への影響には順番がある
現場で見てきた限り、感情への影響が大きい順はこうです。
フィジオロジー(身体) > フォーカス(視点) > ランゲージ(言葉)
だから、感情が乱れたときは、まず身体の使い方から変えていきます。
立ち上がって歩く
深呼吸を3回する
顔を上げて、遠くを見る
それだけで、感情の土台が変わり始めます。
次にフォーカス(視点)を未来や解決策に向け、最後にランゲージ(言葉)を整えていく。
この順番を守ることが、感情の立て直しを最も効率的にします。
まとめ ― トライアドを日常に取り入れる
感情は、偶然生まれるものではありません。
フィジオロジー(身体)
フォーカス(視点)
ランゲージ(言葉)
この3つの要素が相互に作用し、
あなたの感情・思考・行動を決定づけています。
ということは、この3つのどこかを変えれば、
感情は自分でコントロールできるということです。
今日からできる「1分間の感情リセット法」
1.身体を整える(30秒)
姿勢を正し、深呼吸を3回
2.視点を変える(15秒)
「今できることは何か?」と自分に問う
3.言葉を選ぶ(15秒)
「大丈夫、一歩ずつ進もう」と心の中で唱
たったこれだけで、あなたの感情の土台は変わり始めます。
コーチングでは、あなたのトライアドをどう扱うか
コーチはまずクライアントのトライアドにペーシングします。
ペーシングとは、クライアントの身体のリズム、話すスピード、言葉のトーンに、コーチが静かに合わせていくことです。
これにより、クライアントは「理解されている」という安心感を得ます。
ただし、コーチが合わせない要素が一つだけあります。
それは、フォーカス(視点)です。
クライアントが過去や問題に意識を向けているとき、
コーチは静かに、しかし一貫して、未来と解決策に焦点を向け続けます。
なぜなら、それが、クライアントの未来を信じ、
あなたの成長可能性を信じ抜く、
唯一の関わり方だからです。
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