コーチングにおける目標設定

― 目的地・現在地・感情 ―
以前、コーチングとは、クライアントが目的地(目標)へ到達することを支援するために、コーチが行う意図的な技術的・精神的サポートであると定義しました。
つまり、コーチングには「目的地へ到達する」という明確な目的があります。
では、その目的地を目指すために欠かせない目標設定について、今回は話していきます。
目標は「クライアントのもの」
目的地(目標)は、当然ながらクライアント自身が見つけるものです。行きたい場所が違えば、進む道も意味も変わるからです。
ただし現実には、
- 誰かに言われた目標
- そうしないといけない状況に置かれた結果の目標
- いつの間にか「自分の目標だと思い込んでいるもの」
こうしたケースも少なくありません。
自分で見つけた目標かどうかで、モチベーションが大きく変わるのは想像できると思います。
目標設定で大事な3つのこと
今日は、目標設定でとても大切な3つを説明します。
① 目標・目的地
当たり前のようで、実はここが曖昧なまま進んでいる人は多いです。
たとえば、あなたがタクシーに乗って運転手に「どこに行きますか?」と聞かれたとき、
- 「有名なレストラン」
- 「おしゃれなカフェ」
とは言いませんよね。
もし言ったら、運転手は困ります。なぜなら、運転手が思う「有名なレストラン」とあなたの行きたい場所が一致するとは限らないからです。
それよりも、
「◯◯市の□□駅北口まで」
と伝えた方が、お互いに迷わず目的地にたどり着けます。
コーチングでも同じです。クライアントがどこに行きたいのかが曖昧なままでは、支援のしようがありません。
だからまず、目標・目的地を明確にする必要があるのです。
② 現在地
次に大切なのが現在地です。
「現在地なんて、わかっているはず」そう思いがちですが、
- 自分が思っている現在地
- 他人から見えている現在地
この2つには、意外と大きなズレがあることが多いです。
これは「メタ認知能力」とも言われ、成長していく上で必ず必要になる力です。
なぜ現在地が大事なのか
それは、現在地が違えば、目的地へのルートが変わるからです。
カーナビの例

カーナビで、目的地が「北」に表示されていれば、あなたは北に向かって進みます。
でも、そのカーナビに表示されている現在地が間違っていたら?
本当は目的地が「東」にあるのに、あなたは北へ進み続けてしまうかもしれません。
コーチングでは、
- できていると思っていることが、実はできていない
- できていないと思っていることが、実はもうできている
こうしたことがよく起こります。
だからコーチは、クライアントが正しい現在地を把握できているかを確認し、ズレがあれば、対話を通して修正していく必要があります。
③ 達成したとき、どんな感情を感じたいか?
最後に、とても大切な問いです。
目標・目的地に到達したとき、あなたはどんな感情を感じますか? いえ、感じるつもりですか?
人生の大切な時間を使って得たい達成感とは、どんなものなのでしょうか。
この質問をすると、「達成しても、あまり嬉しくないかもしれません」と答える人がいます。
その時点で、その目標はすでに意味を失っています。走り出しても、途中で折れる可能性が高いからです。
子どもの例:プロ野球選手
子どもに「プロ野球選手になりたい」と言われたら、こう質問します。
- 「なぜプロ野球選手になりたいの?」
- 「なったら、どんな気持ちになる?」
多くの子どもは、
- 有名になりたい
- みんなの歓声を浴びたい
- ホームランをたくさん打ちたい
と目を輝かせて答えます。
これは自己承認欲求です。

だとすると、承認欲求を満たす方法はプロ野球選手以外にもたくさんあります。
そのため、障壁が現れたとき、もっと楽で簡単な方法に目標がすり替わる可能性があります。
一方で、
「野球を通して、誰かに勇気や元気を与えられたら嬉しい」
と答える子がいたら、僕はスター選手になる可能性が高いと思います。
違いは、
- 自分のための努力か
- 他人のための努力か
ここにあります。
目標は「感情を得るための手段」
目標・目的地は、達成したときに得たい感情の手段でしかありません。
どんな目標でも、途中には必ず試練・障壁・挫折があります。
それでも歩み続けるためには、その先にどんな感情が待っているかが重要です。
もし、他の簡単な方法で同じ感情を得られるなら、人はそちらを選びます。
まとめ
今回は、目標設定で大切な3つを説明しました。
- 目標・目的地
- 現在地
- 達成したときの感情

この3つが明確であれば、目的地へのルートは無数にあります。最短距離でなくても、必ずたどり着けます。
逆に、この3つが曖昧なままだと、試練にぶつかったとき、人は簡単に折れてしまいます。
……みなさんも、そんな経験、ありませんか?
次回は、目標設定(SMARTの法則)について簡単に説明していきます。
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