僕は常々コーチは、コーチングのテクニックに頼らないで欲しいと思ってますが、実際にはテクニックを最低限は使えないといけないとも思っています。そのため、実際にコーチングする際に使用するテクニック(技術)をお伝えしていきます。
コーチングで使用するテクニックは、大まかに分類すると3つになります。
1.聴くテクニック
2.承認する(受け入れる)テクニック
3.質問するテクニック
今回は、承認するテクニックについてお話ししていきます。
僕の中では、承認するというのは、受け入れるとか、受け止めるというような態度のことで、海外でよくみる、親が子供をハグするような状態と思っています。だから、なんでも褒めるというようなことはしていません。前回説明した、聴くテクニックのゼロポジションなども、受け入れるテクニックの大事な部分ですので、みてない人はぜひみてみてください。
では、実際のテクニックとして、I(you、We)メッセージから説明していきます。
英語圏では主語が大事とされているので、これらの言葉が省略されることはまずありません。しかし、日本語は多くの場面で主語が省略されてしまいます。
「頑張ったね」とクライアントの努力を承認する場面があったとします。多くの人は「(〇〇さん)頑張ったね〜!」と言いうと思います。
でもコーチはあえて「〇〇さん、私からみると頑張っていたと思います。」「私は、努力していた姿を見ていたよ。」
もしくは、「△△さんが(第三者の名前)、〇〇さんは頑張っていたと言っていたよ。」など主語を変えて承認していきます。
「頑張ったね〜」って言われるより、「私は、努力していた姿を見ていたよ。」とか「△△さんが、〇〇さんは頑張っていたと言っていたよ。」と言われた方が、より承認されているように感じるからです。
また、自己評価と他者評価に乖離がある場合はよりこの伝え方がより大切になります。
コーチ 「頑張ったね〜!」
クライアント (私そんなに頑張ったて思ってないのに・・・)「ありがとうございます。でも、私そんなに頑張ったつもりないんですよね」
コーチ 「私は、頑張っているように見えたよ。だって、夜遅くまで資料作っていたり、発表の練習も3回はやっていたでしょ。」
クライアント 「資料作りは大変だったけど、どうしても発表を成功させたくて、とにかく必死だったので、あっという間って感じでした。」
コーチ 「努力したという感じよりは、必死にやった結果って感じなんだね。努力を努力って感じないところが〇〇さんの素晴らしい一面だね。」
クライアント 「そうですか。実は人前で何か発表したりするのが好きなのかもしれません。」
というように、世の中には僕も含めて、自分が納得している部分を認められない限り、それ以外のところでどんなに評価されても、納得できないという人もいます。
また、ネガティブな内容を伝えるときなども、Iメッセージは使えます。
「もう少し頑張ろうか。」というより「私は、〇〇さんはもう少し頑張れると思うんだけど。」のように、伝える方が良いです。なぜなら、前者は命令と捉えられる可能性があり、後者は頑張るかどうかはクライアント次第だからです。
「もう少し頑張ろうか」と言われてこれ以上頑張れないと思う人でも、「はい」と言わざるを得ない状況になってしまいます。一方、「私は、〇〇さんはもう少し頑張れると思うんだけど。」と投げかけられたら、「もう少し頑張ってみます。」or「もうこれが私の限界です」or「これ以上どう頑張ったらいいですか」など、現状をどのように捉えているかがわかります。そして、もう頑張らないという選択肢も僕はアリだと思います。これも一つの承認です。(コーチが頑張れ一辺倒だとクライアントは疲弊していくので注意!)
また、「△△さんが(第三者の名前)、〇〇さんが手を抜いていたと言っていたよ。」というような使い方はしない方がいいです。もし、これが実際にこのように言われていて、真意を確かめたいのであれば、「〇〇さんが手を抜いていたということを聞いたんだけど、私は実際にはみていないので、本当かどうかわからない。〇〇さんの口から実際のことを教えてくれる?」と言い換えて確認します。
僕は実際にこのように第三者からの評価を直接本人に踏み込んで状況を確認するのは、本当にラポールが築けていると思う相手だけです。なぜなら、ラポールが築けていない相手だと、これを言われたら責められいる、言い訳しないと、弁明が必要だという心理になるからです。それでは、全く確認する意味がないのです。
「やる気がわかなくて」、「体調が悪くて」、「しっかり私なりにやっていたのにそんな風に言われるのは心外です。誰ですかそんなこと言ったの?」と素直な気持ちや状況を話せるような、ラポール形成が事前にできていない相手であれば、私はこのようなことを伝え聞いたとしても、本人へは伝えないという選択肢を取ると思います。もしくは、そう評価した相手から直接本人にフィードバックするように依頼する思います。
要望するというテクニック
「期待してもいいですか?」
「お願いしてもいいですか?」
「〇日までに、実際にやってもらってもいいですか?」
というように、人は他者からの依頼や期待には自然と応えようとするという反応を使ったテクニックです。
例えば「禁煙」したい人が「1週間禁煙してみます。」と言った場合に、僕ならこう言います。
「では、タバコを吸いたくなった時に私にLINEスタンプ(なんでもいいのでこの場で決める)を押してもらってもいいですか?」
この場合、「禁煙期待していいですか?」ではなくて、禁煙の約束を破りそうな場面に、他者が一緒にこの辛さを共有できているという状況で一歩踏みとどまるという状況を作るのです。
要望する時には、いつ、どこで、どんな場面で、どんな行動をというように具体的に要望する方がいいです。「期日までに資料を一回見せてね。」ではなくて、「〇日△時までに、資料をメールに添付して送ってください。」というように具体的にどの行動をしたら良いかを要望します。
前者の言い方であると、1回途中経過を見せたら終わりかもしれませんし、当日の朝にみせてきて修正する時間がないかもしれません。そのため、要望する時には具体的に要望をします。
次はフィードバックについてです。
フィードバック(feedback):相手の考え方や実際の行動に対して指摘や評価を行うことです。コーチングの本にはよくフィードバックはサンドイッチというように書かれています。
良い言葉(ねぎらいの言葉)
+
指摘したいこと(頑張ってほしいこと)
+
良い言葉(感謝・期待の言葉)
例えば
「〇〇さん!今日は一日緊張してる中、最後まで働いてくれてありがとう。」
「一つだけ要望があるのですが、〇〇さんが一人で最後まで仕事を完結させたいという気持ちはとても嬉しいのですが、一人で仕事を抱え込んでいて、他の人が手伝うということができないので、もっと他の人に仕事を依頼しながら、みんなで仕事を進めていけると、もっと早く終わると思うんですけどどうでしょうか。」
「〇〇さんの責任感の強さと仕事スタイルは僕らも見習わなければいけないところが多く、尊敬しています。〇〇さんがもっと働きやすいように、協力できればと思っています。」
というようにサンドイッチする方法です。
僕も実際は多くの場面でサンドイッチを使いますが、サンドイッチすると伝えたいことが伝わらない相手が時々います。
めっちゃポジティブさんはポジティブな内容だけを聴き、めっちゃネガティブさんはネガティブな内容だけを聴いていて伝えたい本旨が伝わらない場面です。
その場合僕は、めっちゃポジティブさんには、最初の労いを除いて、指摘部分から伝えて考えてもらって、最後に労いと感謝の言葉を伝えます。また、めっちゃネガティブさんには、最初に労いと感謝の言葉をしっかり伝えてから、指摘部分を一緒に考えるスタイルで伝えたりします。
コーチ
コミュニケーションの評価は、どう伝えたかではなく、どう伝わったかです。
なんちゃってコーチの中には「私は言葉を選んでしっかり伝えた。あとは、相手次第。」「私はちゃんと言いました!」と言われる方がいますが、どんな伝え方であろうと、どう伝わったが大事なのです。だからこそ、承認のテクニックは使えるようにしておきたいですね。
次回は、コーチングのテクニック最後の質問編です!質問はコーチの最大の武器!超大事です!