第7回:まとめ ― スケールサーフィンは技術ではなく在り方

3 min 109 views

― 全7回で学ぶ「視座を動かす思考法」―

この連載では、スケールサーフィン(チャンクアップ/チャンクダウン)について、全7回にわたって解説していきます。

目次

第1回:スケールサーフィンとは何か?
第2回:なぜスケールサーフィンが必要なのか? ― 話が噛み合わない理由
第3回:スケールの4段階 ― 視座の違いを整理する
第4回:実際に使ってみよう① ― 話が通じないときの対処法
第5回:実際に使ってみよう② ― コーチングでの使い方
第6回:実際に使ってみよう③ ― 問題解決と協力を生むスケールサーフィン
第7回:まとめ ― スケールサーフィンは技術ではなく在り方
【番外編】 スケールサーフィン「かまってちゃんへの対応」


第7回:まとめ ― スケールサーフィンは技術ではなく在り方

ここまで、スケールサーフィンについて「理解 → 実践 → 応用」と段階的に見てきました。

第7回のまとめでは、あらためて一番大切なことをお伝えします。

スケールサーフィンは、テクニックではありません。
「どう振る舞うか」という在り方そのものです。

スケールサーフィンの基本構造

スケールサーフィンは、感覚的なものに見えますが、実はとてもシンプルな構造をしています。

大きく分けると、次の3段階です。

① まずは必ず、相手の元へ降りていく
② 共通の思い・テーマまで視座を上げる
③ 最後に、もう一度チャンクダウンする


① まずは必ず、相手の元へ降りていく

スケールサーフィンの初期段階で、必ずやることは一つです。

相手の元に降りる。
相手の視座に立ち、同じ世界を見て、理解しようとする。

  • 相手には何が見えているのか
  • 何が不公平に感じているのか
  • どこに引っかかりがあるのか
  • 何を守ろうとしているのか

この段階では、

  • 正しいかどうか
  • 組織としてどうあるべきか
  • 解決策は何か

は、一切考えません。

ただひたすら、
「そう見えているんですね」
「その世界に立ったら、そう感じますよね」
という姿勢で降りていきます。

ここができていない状態で、どんな正論を語っても、人は動きません。


② 共通の思い・テーマまで視座を上げる

十分に降りて、理解が成立したあとで、ようやく次に進みます。

それがチャンクアップです。

  • なぜそれが嫌なのか
  • 何を大切にしているのか
  • 本当は、どうなればいいと思っているのか

ここで目指すのは「正解」ではありません。

共通できる思い・テーマに辿り着くことです。

  • 働きやすい環境にしたい
  • 無駄な負担を減らしたい
  • 患者・スタッフにとって安全でありたい

この段階で、初めて同じ考え方・同じ見え方になります。


③ 最後に、もう一度チャンクダウンする

そして、最も重要なのが最後です。

必ず、また降ります。

  • 今日から何ができそうか
  • どこまでなら動けるか
  • 誰と一緒ならやれそうか

ここまでチャンクダウンして初めて、相手は「考えた」ではなく「動ける」状態になります

ポイントは、

最初に降りた場所と最後に降りた場所は、同じ階層でも中身が違う

ということです。

だから、行動が変わります。


視座と視野を整理する

ここで改めて、視座と視野について整理します。

視座とは

視座とは、見ている階層の高さです。

  • 現場の一場面
  • 係活動全体
  • 病棟全体
  • 組織の目的

どの階層から物事を見ているか。それが視座です。

視野には2つの意味がある

「視野が広い」という言葉は、実は2種類あります。

1つ目は、各階層で見えている範囲
(同じ視座でも、どれだけ細かく見えているか)

2つ目は、全体として見えている量
(いくつの視座を行き来できるか)

視野が広いとは何か

整理すると、こう表せます。

視野(見えている量) = 視座(階層の数) × 各階層で見えている範囲

ここで大事なのは、

各階層での視野を広げる(経験・知識を増やす)よりも、視座を変えられるようになることのほうが、圧倒的に簡単で即効性がある

という点です。

各階層で見えている範囲が多少狭くても、視座を上下に行き来できるだけで、見えている量は一気に増えます。

結果として、

「あの人は視野が広い」

と言われる状態になります。


スケールサーフィンは「在り方」である

スケールサーフィンとは、

  • 上から指示することでもなく
  • 下から迎合することでもありません

必要に応じて、自然に行き来できる在り方です。

相手の元に降り、
共通の場所まで上がり、
また相手が動けるところまで降りる。

この往復運動ができる人は、

  • 話が通じる
  • 対立を生まない
  • 協力を引き出せる

結果的に、現場を前に進める人になります。


最後に

 スケールサーフィンは、特別な才能でも、魔法の技術でもありません。

相手の世界に降りる勇気と、一緒に考えようとする姿勢。

 それだけで、十分に使えます。

このシリーズが、
 誰かの現場を少し楽にし、
 誰かの対話を少し前に進める
きっかけになれば幸いです。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


なかや たかと

なかや たかと

経歴
2007年杏林大学医学部付属病院看護専門学校卒業
2007年4月〜2011年3月杏林大学医学付属病院(救急、整形外科、緩和ケア)
2011年4月〜2015年3月札幌医科大学附属病院(救急)
2015年4月〜信州大学医学部附属病院(救急)

主な資格
正看護師、救急救命士、危険物取扱者乙4
(財)日本ライフセラピスト財団 認定コーチング、カウンセリング、恋愛アドバイザー、目標設定シニアアドバイザー
県DMAT、特定行為研修(術中麻酔管理パッケージ)

FOLLOW

カテゴリー:
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です