― 人生の40%を「こなすだけ」で使わないという選択 ―
「プライベートを大切にしたい」
「仕事はほどほどでいい」
こうした考え方は、今ではとても一般的になりました。
無理に働き続ける時代ではありませんし、
それ自体は健全な価値観だと思います。
ただ、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。

仕事は、人生の40%を占めています。
【なぜ40%なのかの説明はこちらから】
この40%を、
「できれば考えたくないもの」
「我慢してやり過ごすもの」
として扱ったまま、本当に人生の質は上がるのでしょうか。
仕事は、睡眠よりも長く人生に関わっている
多くの人は、
1日の時間、あるいは1年間の時間の中で、
仕事に、睡眠よりも長い時間を使っているのではないでしょうか。
人生の時間配分を大まかに見ると、
- 睡眠:約30%(日本人の平均睡眠時間は約7時間12分)
- 仕事:約40%(残業を含めると 約8.4〜8.9時間程度)
となります。
つまり仕事は、
睡眠よりも長い時間、人生に関わっている存在です。
しかも仕事は、
- 起きている時間の多くを占め
- 思考とエネルギーを大量に使い
- 感情が動く場面も非常に多い
という特徴があります。
この仕事の部分が、
不満・我慢・諦めだらけであれば、
人生全体の感情の質が下がるのは自然なことです。
プライベートを大切にすることと、
仕事を雑に扱うことは、まったく別です。
「仕事は生活のため」と割り切る危うさ
よく聞く言葉に、
「仕事は生活のためだから割り切っている」
というものがあります。
理屈としては正しいように聞こえます。
では、現実はどうでしょうか。
割り切っている人は、
本当に幸せそうに見えるでしょうか。
- 日曜日の夕方から憂うつになる
- 仕事の話になると機嫌が悪くなる
- 家に帰っても仕事の感情を引きずる
もし心当たりがあるなら、
それは 割り切れていない というサインです。
感情は、理屈では黙りません。
頭で「割り切っているつもり」でも、
感情はちゃんと反応しています。
好きなことを仕事にするべきか?
― 答えは NO ―
ここは、はっきり書いておきます。

好きなことを仕事にすることは、お勧めしません。
多くの人は、
「好きなことが仕事になれば幸せになれる」
と勘違いしています。
しかし実際には、
- 嫌な作業も必ず含まれる
- 責任や評価がついてくる
- 数字や結果を求められる
結果として、
「好き」が消耗品になっていく ことがよくあります。
好きなことが嫌いなことに変わってしまったら、
あなたの人生から「好き」が一つ消えてしまいます。
夢を否定したいわけではありません。
ただ、好きなことは
趣味として置いといた方が、長く人生を豊かにしてくれる
という場合も多いのです。
「自分に合った仕事」を探すという迷路
もう一つ、多くの人がはまるのが、
「自分に本当に合った仕事を探そう」
という考え方です。
一見、前向きに見えます。
しかしこの考え方は、人を長い迷路に連れていきがちです。
- 本当に合うかどうかは、やってみないと分からない
- 選択肢が増えるほど、決められなくなる
- 探し続けるうちに、仕事が長続きしなくなる
- 結局、何が自分に合っているのか分からなくなる
結果として、
自信も感情の質も下がっていきます。
必ずしもあなたに「合う仕事」は、探して見つかるものではありません。
後から振り返って、
「結果的に合っていた」
と感じるものです。
仕事を選ぶときの、もう一つの視点
仕事を選ぶとき、
「好きなこと」「やりたいこと」を基準にする人は多いですが、
もう一つ大切な視点があります。
自分は苦なくできるけれど、他人は苦労すること。
- 自分では「普通」にできてしまう
- だから大したことがないと思っている
- でも周りから見ると「大変そう」「よくできる」「自分には無理そう」
誰でもできることだけれど、誰もやりたがらないこと。
仕事とは、多くの場合、
地味で、目立たないところ にあります。
他の人がやりたがらないことを、
淡々と続けられる。
それも立派な仕事であり、価値です。
「楽しい仕事に就きたい」という理想
多くの人は、
「楽しい仕事に就きたい」
と思っています。
もちろん、楽しい仕事は存在するでしょう。
ただ、現実的に考えると、
その仕事に必ず出会えるとは限りません。
では、どうするのか。
一生、苦痛を感じながら仕事を続けるのでしょうか。
それも違います。
今している仕事を、どう楽しむか
私のおすすめは、

「今している仕事を楽しむ方法を見つける」
という視点です。
ここで言う「楽しむ」とは、
無理に好きになることではありません。
- 意味を見出す
- 関わり方を変える
- 価値の置き方を変える
- やり方を工夫し、ゲーム化する
ということです。
環境を変えるより、
解釈を変える方が、人生は早く変わります。
今の仕事の中に、
- 誰の役に立っているのか
- どんな価値を生んでいるのか
- 自分の強みがどう活きているのか
- どんな工夫をすれば自分は楽しめるか
- 試行錯誤することで、付加価値を生めないか
こうした視点を持つことが、
人生の40%を整えるための、
とても現実的な第一歩になります。

仕事は、人生の敵ではない
仕事は、
あなたの人生から時間や活力を奪う存在ではありません。
人生を支える、40%の柱です。
仕事を切り捨てても、
人生の質は良くなりません。
むしろ、
プライベートへの期待ばかりが膨らみ、
満たされにくくなります。
大切なのは、
仕事を今より少しだけ充実したものにするために、
仕事との関わり方を変えることです。
次回は
仕事を整えても、
なぜか心が落ち着かない人がいます。
その理由はシンプルです。
仕事だけ整えても、人生は整わないから。
次に向き合うべきは、
あなたの人生のもう一つの40%。
人との関係――リレーションシップです。
なぜ、人間関係が整わないと
どんなに頑張っても満たされないのか。
📖 連載記事一覧
- 第1回|人生の質とは何か
人生は「何が起きたか」ではなく「どう感じているか」で決まる - 第2回|仕事との向き合い方
人生の40%を「こなすだけ」で使わないという選択 - 第3回|お金の正体と付き合い方
金額では満たされない理由を、構造で解き明かす - 第4回|リレーションシップとは何か
人間関係が人生に与える影響を、低く見積もっていないか - 第5回|男性脳・女性脳とエネルギー
分かり合えない男女の宿命 - 第6回|倦怠期という成熟のサイン
関係が壊れる前に知っておくべきこと
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