物事の習得に必要なものは何か?

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コーチングテクニックのその前に・・・

 コーチングテクニックで検索して、初めてここをみた方は、テクニックを駆使する前に、事前段階がどれほど大切なのかも、ぜひご覧ください。

その前に物事の習得に必要なものは何か?について最初にお話しさせてください。

誰しも、何かを失敗したこと、もしくは何かやろうとしてたんだけどできなかったことがあると思います。ちょっとそんな過去を想像してみてください。

その時、なぜできなかったのか、あなたはどんな原因が思い浮かびますか?

ある人は、知識がなかった、知らなかったという。

ある人は、根性が足りないから、やる気が足りないという。

ある人は、体調が悪かったから、チャンスがなかったからだという。

 教育の分野で、ブルームやガニェなどの学者は学習の領域をいくつかに分類して、問題点がどこにあるかということを、専門的に説明してくれています。知りたい方は、以下を参考にしてください。(読み飛ばしてもらっても結構です。

 ブルームは、認知領域(cognitive domain)、情意領域(affective domain)および精神運動領域(psychomotor domain)の三つの領域が含んでいると説明している。
 (1)認知領域 知識の習得と理解および知的諸能力の発達に関する諸目標からなる。
 (2)情意領域 興味、態度、価値観・習慣などの意志や情緒と正しい判断力や適応性の発達に関する諸目標からなる。
 (3)精神運動領域 神経と筋の協調を要する一連の行動群で、手先の各種技術ないし技能や運動技術ないし技能に関する諸目標からなる。

 ガニェは学習の成果を「知的技能」「認知的方略」「言語情報」「運動技能」「態度」の5つに整理した(学習成果の5分類)。また、主要な学習目標となる知的技能は、簡単な技能からより複雑で高次な技能へ発展するという階層構造を示した(知的技能の階層構造)。
 ①知的技能(intellectual skills):物事を区別したり、ルールや原理を適用したり、問題解決を行う能力。学習は初等教育における読み書き計算などの初歩的な技能から、高度の工学的技能や経済学等の専門的技能へと発展していく。
 ②認知的方略(cognitive strategies):個人の学習・想起・思考活動を制御する能力。知的技能を応用していく力、そこには有効な思考パターンを引き出して新たな状況に適用することや自己モニタリング(メタ認知)も含まれる。
 ③言語情報(verbal information):言葉で述べることができる知識。曜日の名前、文字、数字、市町村の名称など、通常、暗記することを求められる情報。言語情報は知的技能の学習の前提条件となる。
 ④運動技能(motor skills):いわゆる運動能力。文字を書く、水を飲むといった日常動作も含まれる。
 ⑤態度(attitude):「情意領域」とも呼ばれる。いわゆる態度。

コーチ

コーチ

僕は「何かができない時」には、3つの領域に分けて、原因は何か?、どのような支援が必要かを考えるようにしています。

ボディ(body):技術、知識、技能
マインド(mind):考え方、準備、気持ちのコントロール可能な部分
スピリッツ(spirits):価値観、魂などコントロール不可能な部分

これだけだと、ちょっと分かりづらいのでさらに説明していきます。

ボディ(body)技術、知識、技能は勉強したり、練習したりしながら学習が可能なエリアです。研修を受講したり、シミュレーションを実施したりするなど、時間をかければこの領域の多くのことはクリアできると思います。ただ、どうしても無理なこともあります。それは、身体能力には限界があるという点です。100mを9秒台で走る、ホームランを量産するなど、どんなに努力してもそこにたどり着けない人は必ずいます。そういう、個人の身体的、肉体的限界さえクリアしていれば、多くの問題が解決可能な領域と言えます。

マインド(mind)準備段階、気持ちのコントロール可能な部分、実際の技術や知識を使用する上での土台となる部分だと考えます。例えば、試験当日に、電車が遅れて試験会場にギリギリに到着した。その焦りのまま、試験を行ったのでいつも通りに問題が解けなかったとかありますよね。こういう時はマインドの問題でできなかったと考えます。マインドはある程度コントロール可能な領域なので、事前準備を念入りに行ったり、イメージトレーニングをするなど、考え方を変えてみることによって克服されることが多くあると思います。この領域で課題がある人は、コーチをつけることが一番効果的かと思います。

スピリッツ(spirits)価値観、魂などコントロール不可能な部分だと考えています。この領域に問題があったならばで、介入困難と思った方がいいです。(笑)もしこの領域に問題があって、課題が解決できないのであれば、早めに方向を変えて、違う道へ進んだ方が良いかと思います。それぐらい、この領域は支援が難しい領域です。そして、当の本人も価値観が違った領域で生きて行くのはとてもしんどいはずです。ただ、絶対にこの領域の問題を克服できないかというと、それはNOです。『人間(人生)が変わった』と思うような変化を起こすことができれば、克服することも可能です。いわゆる価値観の書き換えです。自然発生的によくあるのが、大切な人の死や災害などの人生を揺るがすような経験です。実際にそのような経験をしなくても、世界的なコーチは質問や催眠療法のようなイメージトレーニングで、感情を揺さぶり、価値観を書き換えることをやったりもします。アンソニーロビンズのセミナーなどはその最たる例です。

 何かができない時、もしくはやれない時には、この3つの領域のどこかに問題があります。もしくは、複数の領域に問題が生じています。そのため、コーチングする際には、どの領域にどのような問題が生じているのかを、見極める必要があります。

実際に、僕は野球が好きなので、野球で例え話をすると・・・

 『試合でヒットが打てないので、何かアドバイスしてください!」と言われたとします。
 僕なら、アドバイスする前に試合の映像(もしくは実際の試合)を少し見させてくださいと言います。
 なぜなら、技術的にスイングに問題があるのか?タイミングの取り方に問題があるのか?そのほかにも、構え方、バットの握り方、もしくはバット自体が選手のスイング特徴に合っていないものを使用してるかもしれません。また、打席中でスイングして、タイミングがあっているあってない、体が開いているなど自分で気づいて修正できるか、またできないか(メタ認知)なども、技術的な問題で僕が考えるボディの問題です。
 次に、試合前の練習スタイル、打席までの準備状況、打席内での配給の読み、考え方(球種で待っているのか?コースで待っているのか?)、緊張や興奮などで呼吸が乱れたり、力みが生じて普段通りにスイングできない、結果を極端に気にする、三振を嫌がるなどなど選手の考え方、準備の仕方が原因で結果が出ないという、僕が考えるマインドの問題です。
 野球でいうと、だいたい上記のどっちかその両方が原因のことが多いですが・・・。スピリッツについての原因が全くないかというとそうではないこともあります。例えば、素直な選手、八方美人な選手は、いろいろな人のアドバイスを素直に全部聞いてしまい、また器用な側面があったりすると、厄介なのが指導するとそれをすぐに体現していまいます。日替わりでバッティングフォームが違うというようなタイプ。こういう選手は、指導者の意見(他人の意見)は聴くべきだ、聴かなくてはならない、聴かないと試合で使ってもらえないなどの精神的な強迫とまで行かなくてもそのような価値観を持っています。また、それとは真逆の誰の意見も聞こうとしない選手も同じことが言えるでしょう。そういう時は、少しその価値観を変えてあげる必要があるので、僕が考えるスピリッツの問題です。
 実際に、どこが原因かによってアドバイスも違います。そのため、原因を正しく捉えるといことが大切になってきます。

 そして、コーチとして支援するとき、またコーチ自身も何かを習得しようとするときに、この3つの分類を意識しておかないといけません。技術や知識ばかりに気を取られて、マインドやスピリッツの部分で問題が生じるということはよくあるケースです。

 では次回は、コーチングの基本のテクニックについてお話ししていきます。

なかや たかと

なかや たかと

経歴
2007年杏林大学医学部付属病院看護専門学校卒業
2007年4月〜2011年3月杏林大学医学付属病院(救急、整形外科、緩和ケア)
2011年4月〜2015年3月札幌医科大学附属病院(救急)
2015年4月〜信州大学医学部附属病院(救急)

主な資格
正看護師、救急救命士、危険物取扱者乙4
(財)日本ライフセラピスト財団 認定コーチング、カウンセリング、恋愛アドバイザー、目標設定シニアアドバイザー
県DMAT、特定行為研修(術中麻酔管理パッケージ)

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