強いチームを支える「文化」

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第1回では、チームとグループの違いについて書きました。
第2回では、チームに必要なものは「居場所」と「役割」であるという話をしました。
そして第3回では、その環境を作るリーダーの役割について考えてきました。

では最後に、もう一つ大切なことを書いておきたいと思います。

それは 「文化」 です。

チームは、構造だけでは続きません。
役割を決め、リーダーが環境を整えたとしても、それだけでは強いチームにはなれないのです。

長く続くチームには、必ず共通する空気があります。
それが、チームの文化です。

文化とは「空気」である

組織文化の研究者であるエドガー・シャインは、
「文化とは、その組織の中で当たり前とされている物事のやり方である」と述べています。

文化は規則やマニュアルには書かれていません。
しかし、確かにそこに存在し、メンバーの行動を静かに規定しています

文化というと、少し大げさに聞こえるかもしれません。
しかし実際には、とてもシンプルなものです。

誰かがミスをした時、周囲はどう反応するのか。
忙しいメンバーがいた時、誰かが自然にフォローに入るのか。
困っている人がいた時、声をかける人がいるのか。

そういった日々の小さな行動の積み重ねが、チームの空気を作ります

ミスをした人を責める文化のチームでは、誰も挑戦しなくなります。
逆に、失敗を学びに変える文化のチームでは、人は挑戦できるようになります。

文化とは、日々の行動の積み重ねそのものなのです。

閉じた文化は、チームを壊す

最後に、文化について考えさせられた話をひとつ紹介させてください。

ある職場での話です。
そこには、創設期から関わってきたメンバーたちの強いプライドと結束がありました。

それ自体は決して悪いことではありません。
しかしその一方で、外から来た人間の意見が受け入れられにくい空気がありました。

他の施設から来た中途採用者は、その職場のいいところもわかるし、改善できるところも見えます。
だからこそ、「こうした方がいいのでは」と意見します。

しかし、それが自己否定と受け取られてしまう。
そうして外から来た人たちは、少しずつ居場所を失っていきました。

挑戦する文化ではなく、従う文化が育っていたのです。

象徴的だったのは、インターンシップ中にリーダーの方からこんなことを言われたという話です。

「中途採用の方はすぐに辞めてしまうんですよね。なぜかわからないけど。」

なぜかは、入ってみればすぐにわかりました。

しかしその職場では、まず新人教育から変えることにしました
まだ何にも染まっていない新人のうちから、良いものは引き継ぎ、手放すべきものは手放す。

誰か一人のトップダウンで決まるのではなく、みんなの意見で方向性が決まる

そういう文化を、一から育てていきました。

文化は一夜にして変わりません
しかし、何にも染まっていない人を育てることが、確実に空気を変えていきます

チームは、化学反応である

ここまで読んでくれた方に、チームについて私が最も大切にしている考え方をお伝えします。

チームとは、化学反応です。

メンバーが変わると、チームの空気は変わります。

あるメンバーが加わることで、別のメンバーが生き生きし始めることがあります。
逆に、相性が合わないメンバー同士が同じ環境に置かれると、お互いの力を削ぎ合ってしまうこともあります。

実際にこんな経験があります。

あるメンバーがずっと伸び悩んでいたのですが、ペアのスタッフを変えただけで、まるで別人のように成長していきました。

環境が変わり、化学反応が起きた瞬間でした。

だからこそ、リーダーには化学反応を見極める力が必要だと思っています。

この組み合わせは良い反応を生むのか。
もし予想と違う方向に進んでいたら、早めに軌道修正できるか。

メンバー同士の関係性には、細心の注意を払わなければなりません

文化は、化学反応の「培地」である

しかし、化学反応はただ起こせばいいわけではありません。

化学の実験でいえば、反応を起こす「培地」の状態が、反応の質を決めます。

培地がしっかりしていなければ、化学反応は予想外の展開になったり、制御できない方向に進んでしまったりします。

良い反応を安定して起こし続けるには、培地の養生が欠かせません。

チームも同じです。

その培地こそが、「文化」です。

文化がしっかりと根付いたチームでは、新しいメンバーが加わっても化学反応が良い方向に進みやすくなります。

逆に、文化が乱れたチームでは、どれだけ優秀なメンバーが揃っていても、反応が空回りしてしまいます。

チームで人を育て、システムで人を育てる。
特定の誰かに依存しない文化を作る。

それが、メンバーが入れ替わっても続いていくチームの条件なのだと思っています。

職場に人が集まれば、自然とグループはできます。
しかしチームは、自然には生まれません

互いを知り、信頼し、役割を果たし、支え合う。
そして、その関係性を支える文化を丁寧に育てていく。

その積み重ねの先に、
一人では到底できないことをチームが成し遂げる瞬間があります

それが、チームというものだと私は思っています。

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