(前回の復習)
コーチングの基本は「ラポール」です。
ラポールとは、心が通じ合い、互いに信頼し合い、相手を受け入れている状態。コーチとクライアントの間に、橋が架かっているような関係のことです。最近の言葉で言えば、心理的安全性が高い関係と表現してもよいでしょう。
ラポールは、どうやって築くのか?
今回は、「では、そのラポールをどうやって形成していくのか?」という話です。
これは、簡単なようで難しく、難しいようで実はとてもシンプルな話でもあります。

とても身近な言い方をすると、答えはこれです。
「よく話を聴く。」
……以上、終わり。と言いたいところですが、もう少しだけ続けます。
「ちゃんと聴いてるつもり問題」
「よく話を聴くって言われても、普段からやってるけど?」
そう思った方もいるかもしれません。
人と信頼関係を築くうえで、まず大切なのはコミュニケーションです。


では、ここで一つ質問です。
問題:最初に大事なのは、量? 質?
信頼関係を築く際、第一段階で重視すべきなのは、どちらでしょうか?
A. コミュニケーションの量
- 内容は何でもいいから、とにかく会話を増やす(雑談をたくさんする)
B. コミュニケーションの質
- 時間は短くても、内容を厳選して話す(量より中身が大事)
あなたは、どちらだと思いますか?

正解は……
第一段階で必要なのは、コミュニケーションの量です。
正解した方に、拍手👏
意外に思った方もいるかもしれませんが、最初は圧倒的に「量」が大切です。
話す内容は、どんなものでも構いません。まずは、たくさん雑談してください。
- 「髪切った?」
- 「今日は体調どう?」
- 「最近◯◯流行ってるよね」
- 「YouTubeとか観る?」
会話の入り口での”失敗例”
ジェネレーションギャップがあったり、お互いに緊張している状況では、会話の入り口でつまずくことも少なくありません。
よくある例としては、
「最近どう?」 →「どうって言われましても……」
「今日は元気そうだね!」 →「いつも元気なさそうに見えてるんでしょうか?」
いきなり答えに困る質問や、相手への評価がにじむ話題は、ラポールができる前段階では避けた方が無難です。
ただし、ある程度ラポールが築けていれば、これらの会話も問題なく通用します。タイミングの問題ですね。
僕がよく使う、超シンプルな方法
あまり言いたくないですが、僕は「髪切った?」をかなり高頻度で使います。
小さな変化に気づいている、あなたを気にかけていますよ、というサインになるからです。
時々、「切ってません」と返ってくることもあります。
そんな時は、「ごめんなさい、ちょっと雰囲気変わった気がして」と素直に伝えます。
すると多くの場合、「メイク変えたんです」など、別の変化を教えてくれて、自然と会話が広がります。
ラポールは、日常の積み重ね
些細な会話でも構いません。コミュニケーションの量を、日々積み重ねること。これがラポール形成の第一歩です。
特に、毎日のように顔を合わせる相手であれば、挨拶ひとつも立派なコミュニケーションです。
「挨拶は下の者が先にするもの」という考え方もありますが、僕は上下関係なく、自分から挨拶をします。
挨拶が返ってこなくても気にしません。なぜなら、挨拶は「元気を相手にプレゼントするもの」だと思っているからです。
逆に言えば、若い世代は自分から挨拶をするだけで、「しっかりしている人だ」と信頼を得ることもできます。
言葉以外も、すべてコミュニケーション
ラポール形成では、会話の内容だけが大切なのではありません。
表情、声のトーン、視線、姿勢など、コミュニケーションのすべてが相手に影響しています。
ここで、有名なメラビアンの法則(7-38-55ルール)を紹介します。
人の印象は、
- 言語情報(話の内容):7%
- 聴覚情報(声のトーン・話し方):38%
- 視覚情報(表情・態度・しぐさ):55%
の割合で影響を受けると言われています。
同じ言葉でも、表情や声のトーンが違えば、相手の受け取り方は大きく変わるということです。
僕が意識していること
だから僕は、自分の表情や声のトーンを意識するだけでなく、相手の非言語的なサインにも注意を払っています。
- 今、緊張しているのか
- 本心を話せていそうか
- 目を合わせた方がいいのか、あえて外した方がいいのか
そんなことを考えながら、会話をしています。
今回は、ラポール形成の第一段階としての「コミュニケーションの量」と、メラビアンの法則について述べました。
次回は、ラポール形成の第二段階「コミュニケーションの質」について、掘り下げていきたいと思います。