― 看護師にも多い「誠実な人ほど燃え尽きる」構造 ―
「仕事ができて、優しくて、周りから信頼されていた人ほど、気づいたら辞めていく」
看護の現場では、これはもう“あるある”だと思う。
僕が知らないだけで、もしかしたら看護の世界だけに限らないのかもしれない。
残るのは声が大きい人、図太い人、要領のいい人。
辞めていくのは、真面目で、誠実で、責任感の強い人。
これは誰もが感じている「あるある」だけど、
実際はなぜそうなるのかを説明できる人は少ない。
わからないから、対策が立てられない。
対策が立てられないから、辞めていってしまう。
今日は、なぜ「いい人」ほど早く辞めてしまうのかを、
感情論ではなく「構造」で整理したい。
そして、
いい人が自分を守るための具体的な方法もお伝えする。
「いい人」の定義をはっきりさせよう
ここで言う「いい人」とは、こういう人だ。
- 患者さんに丁寧に向き合う
- 同僚のフォローに自然と入る
- 仕事を断らない
- 自分のミスを素直に認められる
- 勉強熱心で向上心がある
- 倫理観が高い
- チームの空気を大切にする
要するに、
誰にとっても「いい人」になりやすい人だ。
そしてここが重要だけど、
このタイプの人ほど、辞めるギリギリまで何も言わない。
いい人が辞める理由①
人間関係に、静かに疲弊する
いい人は、空気を読む。
- 今ここで言ったら角が立つ
- 自分が我慢すれば丸く収まる
- 波風を立てたくない
こうして、感情を飲み込む回数が増えていく。
でも感情は、消えない。溜まる。
怒りや違和感を外に出さず、

いい人
「自分が我慢したらいいだけだから」
「もっと自分が頑張らなきゃ」
と内側に向ける。
結果、誰にも気づかれないまま、心が摩耗していく。
周りは「いつも穏やかで、問題ない人」だと思っている。
本人も「これくらい大丈夫」だと思っている。
でも実際は、限界のギリギリまで我慢し続けている。
いい人が辞める理由②
ノーが言えない
これはかなり身を削る。
- 頼まれたら断れない
- 忙しそうな人を見ると助けてしまう
- 「私がやります」と言ってしまう
最初は「ありがたい人」。
次第に「いれば何とかなる人」。
最後は「いなくなると困る人」。
でも不思議なことに、
一番負担を背負っている人になる。
それでも評価されにくく、給料にも反映されない。
なぜなら、
看護の世界では、日常業務よりも
学会発表など“外に見える成果”の方が評価されやすいからだ。
日常を下支えしている人ほど、評価されない。
「断らない優しさ」が、いつの間にか自己犠牲に変わっていく。
いい人が辞める理由③
仕事ができる
これは皮肉だけど、事実だ。
仕事ができる人ほど、
- 重症患者を任される
- 面倒な調整役になる
- 新人指導を任される
- トラブル対応に呼ばれる
負荷が集中する。
本人は「期待されている」と思う。
でも、役割が増えるほど、裁量は増えない。
ここで起きるのが、
責任だけが増えて、コントロールできない状態
心理学では、
これを「高ストレス・低コントロール」と呼ぶ。
仕事の要求度は高いのに、
自分で決められることは少ない。
この状態が続くと、人は燃え尽きる。
いい人が辞める理由④
倫理観が高い
いい人は、
- 患者を雑に扱えない
- 手を抜くことに罪悪感がある
- 「これでいいのか?」と考えてしまう
でも現場は、常に余裕がない。
- 人手不足
- 時間不足
- ルールと現実の乖離
このギャップに、一番苦しむのが倫理観の高い人だ。
「理想を捨てるか、自分を削るか」
多くのいい人は、
「自分を削る」方を選び続ける。
そして、削り続けた先に限界が来る。
いい人が辞める理由⑤
他人を手伝う
いい人は、チームプレイヤーだ。
でもここで、構造的な問題が起きる。
他人を手伝う
→ 自分の仕事が後回し
→ 残業
→ 疲労
→ 余裕がなくなる
→ また誰かを助ける
優しさが、自己消耗のループになる。
しかも、この努力は数字に残りにくく、評価されにくい。
いい人が辞める理由⑥
ライフイベントがきっかけになる
結婚、出産は、「辞めやすいきっかけ」。
理由①〜⑤で、
すでに心身が限界に近づいている。
だから、

「結婚するから」
「子どもができたから」
という言いやすい理由で辞めていく。
長く続けられる「できる人」の共通点
実は、長く続けられる人には共通点がある。
- 境界線を引ける
- できないことを断れる
- 役割を選べる
- 感情を外に出せる
- 自分の人生を優先できる
これは冷たさではない。
成熟の証だ。
いい人が自分を守るための3つの実践
実践①:一日一回「ノー」を言う
実践②:限界を言葉にする
実践③:自分の仕事を最優先にする
管理職・リーダーの方へ
「いい人」を守ることは、組織の責任
- いい人を把握する
- 断った時に擁護する
- 積極的に休ませる
- 役割を明確にする
- 評価につながる機会を与える
- 早く裁量を渡す
最後に
いい人であることは、あなたの価値だ。
でも、その価値を守るために、
自分を犠牲にする必要はない。
【あなたへの問い】
今日、一つだけでいい。
- 一つ、断ってみる
- 「しんどい」と伝えてみる
- 定時で帰ってみる
小さな一歩が、
あなたを守る習慣になります。
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